読書が続かなかった私が『続ける思考』に教わったこと

書評

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本が好きなはずなのに、読めていない。
そんな矛盾を抱えたことはありませんか。

『続ける思考』は、その理由を教えてくれた一冊でした。

「時間がないから」ではなかった——そう気づかされたのです。

『続ける思考』ってどんな本?

  • 著者:井上新八
  • 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 副題:「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる

著者の井上新八さんは、ブックデザイナーとして活躍する一方で、日々たくさんのことを「続けている」方です。

その経験から編み出した、続けるための思考法をまとめたのが本書です。

本書の構成

本書は、まず「続けることへの苦手意識をなくす」ところから始まります。

そこから「続けることは仕組みがすべて」という具体的な方法論へ進み、続けた先に何が起きるのか——

「やり抜く力が身につく」「自分が変わる」「夢中になれることが見つかる」——と段階的に展開していきます。

まず心のハードルを下げ、次に方法を学び、最後にその先の景色を見せてくれる。そんな構成です。

理屈っぽい自己啓発書というより、著者自身の実践と失敗が率直に語られる、エッセイのような読み心地でした。

結論は「毎日やる」——ただしハードルは下げる

本書の答えは、いたってシンプルです。「毎日やる」。
そう聞くと身構えてしまいますよね。

でも本書が言っているのは、根性で毎日こなせという話ではありません。むしろその逆です。

毎日やるために、続けられる仕組みをつくる。

そして何より——毎日できるサイズまで、小さくする。

私たちはつい、「続ける」を「1から10まで全部やり切ること」だと捉えてしまいがちです。

でも、「1日5分だけ」くらいまで小さくしてしまえば、心理的なハードルはぐっと下がります。

読書でいえば、「3ページだけ読む」でもいい。

そう考えると、続けられる気がしてきませんか。

好きなものを、大切にしすぎていた

本書で一番刺さったのは、この一節でした。


 「大切にしすぎているがゆえにハードルを上げてしまって、
いつのまにか距離ができてしまう」

 ――井上新八『続ける思考』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

著者は漫画が大好きなのに、気づけば半年で1冊しか読まなくなっていたそうです。

理由は「好きなことだからこそ、きちんと向き合おうと思う。だから時間がつくれない」。

これを読んだとき、思わずハッとさせられました。

本が好きだからこそ、一冊としっかり向き合いたい。
でも、そのための時間はなかなか取れない。

「いつかまとまった時間ができたら」——そう思っているうちに、気づけば月日だけが過ぎていました。

読めなかった理由を、私はずっと「忙しいから」だと思っていました。
でも本当は違ったのかもしれません。

「ちゃんと読まなきゃ」と思いすぎて、自分でハードルを上げていたのだと、この本を読んで気づかされました。

読書から離れていた頃の話は、『本を読まなくなった私が、また月3〜4冊読めるようになった3つの方法』の記事に書いています。

「ゼロよりイチだ」

では、上げてしまったハードルをどう下げるのか。
本書の答えは、驚くほどシンプルでした。


「「ゼロよりイチだ。」

 ――井上新八『続ける思考』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)

1日5分でもいい。ない時間は朝つくればいい。
とにかく、ゼロにしないこと。

読書に置き換えるなら、「1ページだけ読む」でも立派な読書です。

1ページ読んだ日と、まったく開かなかった日。

その差はたった1ページですが、「読んだ」と「読まなかった」の間には、思っている以上に大きな隔たりがあります。

実は以前、積読についての記事でも、私は同じことを書いていました。
「1ページでも読めればOK、くらいの気持ちで」と。

経験からなんとなく掴んでいたことに、本がはっきりと名前をつけてくれた——そんな感覚がありました。

積読を減らす読書習慣の話は、『積読が減らない人へ|すきま時間で積読を消化する読書習慣術』の記事にまとめています。

小さなことと、小さなことをセットにする

では、その「1ページ」をどうやって毎日続けるのか。

本書で紹介されていた方法が、とても腑に落ちました。

小さなことと小さなことをセットにして、2つでひとつの習慣として考える——

普段から必ずやっていることに、新しく始めたいことをくっつけてしまうのです。

ベッドに入ったら、本を開く。
電車に乗ったら、Kindleを立ち上げる。

そんなふうに、すでにある習慣をきっかけにしてしまう。

そして本書では、小さなことだからこそ「例外の日をつくらない」ことが大切だと書かれていました。

「今日は疲れているからやめておこう」を認めてしまうと、その例外はどんどん増えていくからです。

正直に言うと、私は毎日できていません

本書には「例外の日をつくらない」と書かれています。

けれど正直に言えば、私は毎日きちんと読書の時間を取れているわけではありません。

以前「寝る前の30分を読書時間にした」と書きましたが、眠くなって30分もしないうちに寝てしまう日もあれば、本を持ったまま寝落ちしていたこともしょっちゅうです。

それでも——まったく本を読めていなかった頃と比べたら、読書時間は段違いに増えました。
毎日ではなくても、です。

完璧に続けられなくてもいい。

「ゼロよりイチ」というのは、そういうことなのだと思います。

ただし、逃げ道もちゃんと用意されています

「毎日やる」「例外をつくらない」——そう聞くと、厳しい本のように思えるかもしれません。

でも本書には、こんな考え方も書かれています。

「いつやめてもいい」と思っておくこと。
「やったフリ」だけでもいいということ。
「休むなら明日にしよう」と先送りしてしまうこと。

これを読んだとき、純粋に心理的なハードルが下がりました。

続けなければというプレッシャーではなく、続けてもいいし、やめてもいい。
その気楽さが、かえって続ける力になるのだと思います。

孤独は、自分の武器を磨く時間

本書のエピローグに、こんな言葉がありました。


 「今、孤独を感じていたらチャンスだ。
その時間は自分の武器を磨くための時間になる」

――井上新八『続ける思考』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この一文を読んだとき、以前読んだ別の本のことを思い出しました。

『スマホ時代の哲学』という本の中で、〈孤独〉とは「自分自身と対話すること」だと語られていました。

寂しさとしての孤独ではなく、自分と向き合うための、豊かな時間としての〈孤独〉です。

その孤独の時間をどう使うかは、自分次第です。

ただスマホをダラダラと眺めて過ごすのか。それとも本を開いて、新しい知識や物語に触れるのか。

〈孤独〉の時間に「続ける」ことを重ねていけば、それはやがて、自分の武器になっていくのだと思います。

『スマホ時代の哲学』の感想は、『SNSをやめて読書に戻った私が『スマホ時代の哲学』に見つけた答え』の記事に書いています。

こんな人におすすめ / 合わないかも

<こんな方におすすめ>

  • 好きなことなのに、なぜか続かない人
  • やる気はあるのに、行動が続かない人
  • 「続かない自分」を責めてしまう人

本書は「頑張れ」と背中を叩く本ではありません。
むしろ「そんなに構えなくていい」とハードルを下げてくれる。

続かないのは意志の弱さではなく、やり方の問題なのだと教えてくれます。

<合わないかもしれない方>

  • 「毎日やる」という言葉自体が重荷に感じる人
  • 継続よりも、短期的な結果を求めている人

先ほど書いたように逃げ道も用意されていますが、それでも「毎日」という言葉に構えてしまう方はいるかもしれません。

そして本書が語っているのは、あくまで続けた先にあるもの。

すぐに結果が欲しい、短期間で成果を出したい——

そんなときに読むと、少し遠回りに感じるかもしれません。

読書を「続ける」ために

ここまで本書の話をしてきましたが、最後に少しだけ、読書に引きつけて考えてみます。

本書が教えてくれたのは、続けるコツは「ハードルを下げること」だということでした。

読書のハードルを下げるうえで、私がいちばん効果を感じたのは「本がすぐ手元にある状態」をつくることです。

読みたいと思ったその瞬間に、本が手元にない。
それだけで、読書は「あとでやること」になってしまいます。

その点、Kindleなら一台に何冊も入れて持ち歩けるので、すきま時間がそのまま読書時間になります。

Kindleの詳しい話は、『Kindleで読書を始めるメリット|スマホアプリとの違いを解説』の記事にまとめています。

そして、どうしても本を開く余裕がない日もあります。そんなときは、耳で聴くという方法も。

家事をしながら、通勤しながらでもゼロにはなりません。

実際に聴いてみた感想は、『【第169回芥川賞受賞作】『ハンチバック』をAudibleで聴いた感想|元図書館司書が考える読書の形』の記事を参考にしてみてください。

もう少し具体的に「何を読むか」で迷っている方は、読み切りやすい本を選ぶのも、続けるコツのひとつです。

「読みたいけど時間がない」人へ|元司書が選ぶスラスラ読める5冊
「読みたいけど時間がない」という方へ。元図書館司書が、忙しい人でも読み切れる小説5冊を厳選しました。選書の条件から、区切って読める本・一気に読める本まで。読書を習慣にするための一冊が見つかります。

まとめ

  • 続かないのは、意志が弱いからではない
  • むしろ「大切にしすぎる」と、ハードルは上がってしまう
  • 1日5分でも、1ページでもいい。「ゼロよりイチ」
  • 完璧に続けられなくても、やった分だけ確実に変わる

私自身、この本の教えを完璧に実践できているわけではありません。

それでもまったく読めていなかった頃と比べれば、本のある毎日は確実に戻ってきました。

「好きなのに、できていない」——

そんなもどかしさを抱えている方に、そっとおすすめしたい一冊です。

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