【第169回芥川賞受賞作】『ハンチバック』をAudibleで聴いた感想|元図書館司書が考える「読書の形」

『ハンチバック』をAudibleで聴いた感想|元図書館司書が考える読書の形 聴く読書(Audible)

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以前の記事で「聴く読書も、立派な読書のかたち」と書きました。

そう言った以上、ちゃんと試してみようと、Audibleを始めてみたのです。

最初に選んだのは、芥川賞受賞作『ハンチバック』。
紙の本でも読んだ事がある本を「聴く読書」として試してみたので、使用感や感想が参考になれば幸いです。
※本記事では、物語の結末や核心には触れていません。ただし、作中の一節を一箇所引用しています。

Audible(オーディブル)とは?

Audibleは、Amazonが提供する「聴く読書」のサービスです。

プロのナレーターが本を朗読してくれるので、通勤中や家事の合間など、手や目が塞がっているときでも読書ができます。

料金は、月額1,500円の「プレミアムプラン」に加入すると、対象作品が追加料金なしで聴き放題。
スマホアプリひとつで楽しめ、30日間の無料体験もあります。
※料金は変わることがあるので、最新の情報は公式でご確認ください。

『ハンチバック』はどんな作品か

『ハンチバック』は、市川沙央さんによる第169回芥川賞受賞作です。

主人公は、重い障害を抱え、背骨が極端に湾曲した女性・井沢釈華。
著者の市川さん自身も、筋疾患による障害の当事者です。

この作品の中で私が一番気になったのが「読書バリアフリー」について——
障害のある人にとっての読書環境です。

市川さんは、「紙の本を前提とした世界では、読みたくても読めない人がいる」という問題意識を、この小説に込めています。

だからこそ、この本を聴く読書で体験することには、特別な意味があると感じたのです。

元図書館司書として「読書バリアフリー」を考える

『ハンチバック』の中でも描かれていますが、ハンデのある方にとって、分厚く重い紙の本を読むことは、それだけで大きな負担になります。

ページをめくること一つとっても、時にはヘルパーさんの手を借りなければ本が読めない——

そんな現実があることを、この作品は静かに、でも確かに突きつけてきます。

長く本にたずさわってきた私も、恥ずかしながら、その視点を十分には持てていませんでした。

「紙の本を読めることは、当たり前ではない」。

この作品は、そんな当たり前のことを教えてくれました。

その点、Audibleのような聴く読書は、手が使えなくても、目が疲れていても、気軽に本を楽しめる手段になります。
「読書のかたち」に選択肢が増えていくことの意義は、とても大きいと、あらためて感じました。

実際にAudibleで『ハンチバック』を聴いてみた

ここでは実際にAudibleで『ハンチバック』を聴いた時に感じたことをご紹介します。

ラジオドラマのように、すっと物語に入れた

全体を通して、違和感はほとんどありませんでした。

プロのナレーションは、まるでラジオで物語を聴いているような心地よさで、自然と作品の世界に入っていくことができました。

家事をしながら読書ができた

一番うれしかったのは、皿洗いをしながら聴けたこと。

これまで「ただの家事の時間」だったところが、まるごと読書の時間に変わりました。
手も目も塞がっていても本を楽しめる——これは聴く読書だけの魅力でした。

話題の新作も、意外と揃っている

ラインナップも想像以上でした。最新の本屋大賞の作品まであって、「聴ける本、こんなにあるんだ」と嬉しい驚きがありました。

心に残った、この一節

 「せむし(ハンチバック)の怪物の呟きが
真っ直ぐな背骨を持つ人々の呟きよりねじくれないでいられるわけもないのに。」

 ――市川沙央『ハンチバック』(文藝春秋)

「自分の言葉は、どうせ健常者には理解されないだろう」——

そんな主人公の心情が、彼女自身の身体の状態に重ねて語られています。

曲がった背骨のように、自分の呟きもまたねじくれてしまう。

まっすぐな背骨を持つ人の言葉と同じであれるはずがないのだ、と。

自分の身体を、そのまま言葉の比喩にしてしまう。
この比喩は、とても秀逸だと感じました。

自分の口から出る呟きが、真っ直ぐか曲がっているのか。
考えもした事がありませんでした。

図書館で働いていたときは、「図書館は全ての人に開かれたもので、バリアフリーなもの」だと思っていました。

しかし、今考えてみれば圧倒的に障害のある方を対象にした資料(朗読資料、展示資料)は少なく、主人公の呟きが捻じくれるのも無理はないと思いました。

聴いてみて、気になった点・向き不向き

正直に、気になった点もお伝えします。

まず、紙の本が持つ”見た目”の表現は、音声では伝わりにくいこと。

記号や装飾など、目で見て感じる仕掛けは、聴くと再現されなかったり、そのまま読み上げられて少し不思議な感じになる場面がありました。

また、以前に読んだことのある本だからこそ気づいたのですが、自分の中にあった登場人物の「声のイメージ」と、ナレーターの声とに小さな違和感を覚えることも。
これは初めて読む本では起きないことです。

そして、知らない言葉が出てきたとき。
紙やKindleなら、その場ですぐ辞書を引けます。
でも「聴く」読書では、止めて調べるのがどうしても面倒で、つい分からないまま聞き流してしまいそうになりました。

Kindleの辞書機能については、『Kindleで読書を始めるメリット|スマホアプリとの違い』の記事で詳しく紹介しています。

Kindleで読書を始めるメリット|スマホアプリとの違いを解説
「Kindleって実際どう?スマホで十分?」という方へ。元図書館司書が、Kindleで読書するメリットと、スマホアプリ・専用端末の違いを実体験で解説します。持ち運び・目の優しさ・集中しやすさなど、自分に合う読書環境が見つかります。

料金は「聴き放題プラン」で使うのがお得

1冊ずつ単品で買うと、3,000〜4,000円することもあり、正直これは割高に感じました。


でもAudibleは、月額1,500円のプレミアムプランに入れば、対象作品が追加料金なしで聴き放題。
この使い方なら、月に1〜2冊聴くだけで十分に元が取れます。

なので、いきなり単品購入するより、まず聴き放題プランを無料体験で試してみるのが、賢い始め方です。

紙・Kindle・Audibleの使い分け

実際に使ってみて感じたのは、「どれが優れているか」ではなく、「本や場面によって使い分ける」のがいちばんだということ。

  • 言葉をじっくり確かめ、味わいながら読みたい本 → 紙・Kindle
  • ストーリーを楽しみたい/家事や移動中のながら読書 → Audible

読書のかたちは、ひとつじゃない。
その自由さを、あらためて実感しました。

Kindleの詳しい話は、『Kindleで読書を始めるメリット|スマホアプリとの違い』の記事もどうぞ。

Kindleで読書を始めるメリット|スマホアプリとの違いを解説
「Kindleって実際どう?スマホで十分?」という方へ。元図書館司書が、Kindleで読書するメリットと、スマホアプリ・専用端末の違いを実体験で解説します。持ち運び・目の優しさ・集中しやすさなど、自分に合う読書環境が見つかります。

Audible無料体験の始め方

Audibleは、すでに持っているAmazonアカウントがあれば、すぐに始められます。

<始め方>

1. Amazonのメニュー「すべて」→「デジタルコンテンツ&デバイス」→「Audible オーディオブック」を開く

2. キャンペーン中なら「キャンペーンに申し込む」から登録

3. 通常は「30日間の無料体験」から始められます
Amazonのトップページに、キャンペーンのバナーが出ていることもあります。

時期によっては、プライム会員限定で無料期間が延びるなど、お得なキャンペーンが開催されていることも。
登録する前に今どんな条件になっているか一度チェックしてみるのがおすすめです。

※無料体験期間が終わると、月額1,500円で自動更新されます。

 退会はいつでも可能です。

Audible無料体験の解約方法

まず、いちばん大事なポイントから。
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<解約の手順>

1. アプリからは解約できません。SafariやChromeなどのブラウザから公式サイトにアクセスします

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5. 退会理由のアンケートや、割引プランの提案(引き止め画面)が表示されますが、そのまま進めて大丈夫です

6. 「退会手続きを完了する」まで進めば、手続き完了です

<知っておくと便利:解約以外の選択肢>

実は、退会せずに「休会」することもできます(30日・60日・90日)。
休会中は月会費がかからず、いつでも再開OK。

「今は忙しいけど、また聴きたくなりそう」という方には、こちらの方が合っているかもしれません。

また、もっと手頃な「スタンダードプラン(月額880円・毎月1冊)」への変更も、手続きの途中で提案されます。

<登録したら必ずやること>

アカウント情報で「次回ご請求日」を確認して、カレンダーにメモしておきましょう。
うっかり課金を防げます。

まとめ

『ハンチバック』を聴いて読んだこの体験は、「読書のかたちは、もっと自由で、もっと開かれていい」という思いをより深いところで確かめさせてくれました。

紙で読むのも、画面で読むのも、耳で聴くのも、どれも読書。
あなたも、あなたに合った読書の形を、見つけてみませんか。

読書が続かなかった私の話は、『reading-habit-comeback』もどうぞ。

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