青山美智子『木曜日にはココアを』あらすじと感想|どんな人におすすめ?

青山美智子『木曜日にはココアを』あらすじと感想|どんな人におすすめ? 書評

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「読みたいけれど、まとまった時間が取れない」

そんなときに心強いのが、短い物語が連なった一冊です。

青山美智子さんの『木曜日にはココアを』は、全12編の連作短編集。
1編は10分から20分ほどで読めました。

Kindle Unlimitedの棚で見つけて、2日で読み終えています。

どんな本なのか、結末に触れずにお伝えします。

『木曜日にはココアを』はどんな本?

  • 著者:青山美智子
  • 出版社:宝島社(宝島社文庫)
  • 全12編の連作短編集

『木曜日にはココアを』のあらすじ【ネタバレなし】

川沿いにある喫茶店「マーブル・カフェ」。
店で出される一杯のココアから、物語は始まります。

木曜日になると決まって訪れ、いつも同じ席で手紙を書く女性がいます。
彼女が頼むのは、いつもココア

店で働く青年は、彼女を心のなかで「ココアさん」と呼んでいました。

短編で語られる物語は東京を離れ、シドニーへも渡ります。

誰かの何気ない行いが、別の誰かの一日を少しだけ変えていく。
そんな12編が連なっています。

12編は登場人物がリレー形式で登場

この本のいちばんの特徴です。

1編目に出てきた誰かが、2編目の主人公になる。
2編目の誰かが、3編目へ。

そうやってバトンが渡されていきます。

前の話で脇にいた人が、次の話では真ん中にいる。
読みながら「あ、あのときの人だ」と気づく瞬間が何度もありました。

そして12編を経て、物語は最初の場所へ戻ってきます。

各編で出てくる色に注目

「木曜日にはココアを」はブラウン
「半世紀ロマンス」はグレー

出版社の紹介文にも「12色のストーリー」とありました。

読みながら色を探すのも、楽しみ方のひとつだと思います。

特に印象に残った3編

12編のうち、特に心に残った3編を紹介します。
恋愛の話が続きますが、本の中には育児や友情を描いた編もあります。

木曜日にはココアを

表題作であり、1編目です。

語り手はマーブル・カフェで働く青年。

木曜日に来て手紙を書く女性に、彼は惹かれています。

ある日、彼女はいつもと違う暗い表情で店に来ました。

しかも、いつも座っている角の席が埋まっている。

彼女は別の席に座ります。

自分にできることはないか。
青年はそう考えて、角の席が空くとすぐに片付け、彼女に声をかけます。

ココアさんの表情が暗かった原因や、青年の恋の行方を見守ってみてください。

半世紀ロマンス

金婚旅行でシドニーを訪れた、老夫婦の話です。

語り手は奥さん。


「僕は恰好良くなりますよ。約束します。
今は地味に思えるかもしれないけど、年をとったときに必ず、
ロマンスグレーのいい男になりますから」

——青山美智子『木曜日にはココアを』(宝島社)

仲の良い夫婦が金婚式を迎えてシドニーに来るまでにはいろいろありました。

50年連れ添った二人のやりとりが、とにかく微笑ましい一編でした。

ラルフさんの一番良き日

アラフォーのラルフさんは、サンドイッチ店の店主です。

オレンジ色のひさしがついた店で、オレンジ色のエプロンをして働いています。

昔、アパートの隣の部屋に住むシンディという女性に、ラルフさんは密かに想いを寄せていました。

バス停まで話しながら歩く。
たわいない時間は、けれど束の間でした。

シンディが引っ越したと他の住人から聞いたのは、翌週のことです。

月日が経って、二人は……

1編10〜20分。2日で読み終えました

1編は10分から20分ほど。
私は2日で読み終えました。

通勤の行き帰りや、寝る前の少しの時間。
細切れでも1編ずつ区切って読めるのが、連作短編集の良いところです。

以前の記事で、忙しい人に大事なのは本の厚さより読みやすさだと書きました。

この本は、その条件によく合っていると思います。

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以前紹介した『プレゼント』は1編30分から1時間ほどでした。

『木曜日にはココアを』はもっと短く、より細切れの時間に向いています。

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どんな人におすすめ?

<おすすめできる方>

  • すきま時間で少しずつ読みたい方
  • ほっこりする物語が読みたい方
  • 登場人物がつながっていく仕掛けが好きな方

<合わないかもしれない方>

  • ミステリーやホラーが好きな方
  • 大きな波乱やどんでん返しを求める方
  • 穏やかな話が続くと、途中で飽きてしまう方

Kindle Unlimitedで読みました

私がこの本と出会ったのは、Kindle Unlimitedの棚でした。

一覧を眺めているときにも見かけましたし、トップページのおすすめにも出てきました。

何度か目に入るうちに、読んでみようと思ったのです。

※読み放題の対象は入れ替わることがあります。いま対象かどうかは、確認してみてください。

同じ作者の『お探し物は図書室まで』

青山美智子さんには、『お探し物は図書室まで』という作品もあります。
2021年の本屋大賞で2位に選ばれた一冊です。

人生に迷った人たちが、小さな図書室の司書に導かれていく物語。

私は紙の本で読みました。

司書が人を動かす小説なので、いつか改めて紹介したいと思っています。

まとめ

  • 青山美智子さんによる、全12編の連作短編集
  • 登場人物がリレーしていき、最後は最初の場所へ戻ってくる
  • 各編に色が割り当てられている
  • 1編10〜20分。私は2日で読み終えた
  • ほっこりする物語が好きな方に。劇的な展開を求める方には向かない

読みたいのに、時間が取れない。
そんなときこそ、短い物語が連なった一冊が助けになります。

1編だけ読んで、閉じてもいい。続きは明日でもいい。

そういう読み方ができる本でした。

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