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思い込みには、気をつけているつもりでした。
それでも、最後まで連れていかれました。
何に、とは書けません。
『探偵小石は恋しない』は、何も知らずに読むほど楽しめる本です。
この記事では結末に触れずに、どんな本か、どんな人に合いそうかだけを書きます。
『探偵小石は恋しない』はどんな小説?
| 著者 | 森バジル |
| 出版社 | 小学館 |
| 発売 | 2025年9月18日 |
| ページ数 | 328ページ(単行本) |
| 話題 | 2026年本屋大賞ノミネート、 10万部突破(出版社発表) |
| 続編 | 『探偵小石は戻らない』 (2026年9月30日発売) |
| 読了時間 | 約6時間(7日) |
舞台は福岡。
小石探偵事務所の代表・小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見る、ミステリー好きの探偵です。
ところが、事務所に来る依頼の9割9分は、不倫や浮気の調査。
推理が必要な事件は、なかなかやってきません。
そして小石は、ある理由から、この色恋の調査が病的に得意なのです。
物語は女子高生からの依頼で始まります。
「父親の不倫を調べてほしい」——。
主な登場人物
| 名前 | 立場 |
| 小石(こいし) | 小石探偵事務所の代表。調査員。ミステリー好き |
| 蓮杖(れんじょう) | 小石探偵事務所の調査員。少女漫画が好き |
| 雛未(ひなみ) | 小石探偵事務所の事務員。 バックオフィスとSNSの運用を担当 |
| 佐藤澪(さとう みお) | 高校3年生。第一章の依頼人 |
| 佐藤亨(さとう とおる) | 澪の父親 |
ここに挙げたのは、物語の入り口にいる人たちだけです。
章が進むごとに、依頼人と調査の対象が変わっていきます。
感想(ネタバレなし)
初心者に『魍魎の匣』をすすめる探偵
序盤、小石が蓮杖に、ミステリー初心者向けとして京極夏彦さんの『魍魎の匣』をすすめる場面があります。
思わず、「それは絶対に初心者向けじゃない」と言いたくなりました。
私は『魍魎の匣』を読んだことはありません。
同じ京極夏彦さんの『死ねばいいのに』は読みました。
『魍魎の匣』は、文庫版で1,060ページ。
「鈍器本」と呼ばれるくらいの厚さです。
ミステリー初心者というより、まず活字に慣れていない人には、とても初心者向けとは言えません。
でも本好きの探偵が、本好きらしいずれ方をしている。
この一場面で、小石という人物が好きになりました。
「小石の目には、恋情が見える。」
小石の目には、恋情が見える。
――森バジル『探偵小石は恋しない』(小学館)
小石が色恋の調査を得意とする、その理由がこの一文です。
どう見えるのかは、ぜひ本で確かめてみてください。
依頼人は嘘をついている?
「あの子、嘘つきだから。なんでそんな嘘ついたのかって謎を推理して楽しむわ」
――森バジル『探偵小石は恋しない』(小学館)
第一章、依頼を受けたあとの小石の一言です。
ただの不倫調査が、謎に変わる。
ここから一気に物語に引き込まれました。
思い込みのまま、最後まで連れていかれた
いちばん夢中になったのは、最後の章の謎解きです。
この本のキーは、「先入観」と「思い込み」だと思います。
全部をフラットに見ているつもりでした。
それでも無意識の思い込みに、完全にミスリードされました。
読み終えてから最初のページに戻ると、見え方がまるで違いました。
トリックも動機も納得できた
驚かされる本は、ときどき「ずるい」と感じることがあります。
この本はそうではありませんでした。
トリックにも動機にも納得できました。
合わなかった点も特にありません。
どんな人におすすめ?
<合いそうな方>
- ミステリーが好きな方
- 気持ちよくだまされたい方
- 恋愛小説は読むけれど、ミステリーはまだ、という方
最後の一つは、少し補足が必要です。
この本で扱うのは、基本的に不倫や浮気の調査です。
いわゆる恋愛小説とは違います。
それでも人の恋心が物語の中心にあるので、恋愛ものが好きな方にとっては、ミステリーを読み始めるきっかけになると思います。
<合わないかもしれない方>
- 不倫や浮気の話が苦手な方
- 軽口を叩く描写を好まない方
読了時間:約6時間、7日かけて
プロローグ、第一章から第五章、エピローグ。
1章1時間ほどで、全部で約6時間でした。
夜更かしも寝落ちもしませんでした。
毎日1章ずつ、ちょうどいい量を読み進められる本です。
同じミステリーでも、『星くずの殺人』は2日で一気に読み終えました。
こちらは毎日少しずつ楽しむ読み方が合っていました。

Kindle Unlimitedで読みました
この本は、Kindle Unlimitedで読みました(2026年10月時点で読み放題の対象)。
2025年9月に出た単行本が、読み放題に入っています。
読み放題は少し前の本が中心ですが、こういう話題作が入っていることもあります。
読み放題で読める小説は、こちらにまとめています。

まとめ
- 福岡の探偵事務所を舞台にした、2026年本屋大賞ノミネートのミステリー
- 依頼の9割9分は不倫・浮気調査。それが謎に変わっていく
- キーは「先入観」と「思い込み」。私は完全にだまされました
- トリックも動機も納得できる
- 1章1時間、全部で約6時間。毎日少しずつ読める
- Kindle Unlimitedで読める(2026年10月時点)
ネタバレを検索する前に、まずは読んでみてください。
きっとあなたもいつの間にか連れていかれます。

