図書館司書の裏話|「選書」ってどんな仕事?元司書が解説

図書館司書の裏話|選書ってどんな仕事?元司書が解説 図書館のこと

図書館に並んでいる本は、誰がどうやって選んでいるのでしょうか。

実はそれ、司書の仕事のひとつ「選書」によるものです。
限られた予算の中で、一冊ずつ選び抜かれています。

この記事では、元図書館司書の私が、あまり知られていない選書の舞台裏をお話しします。
そして最後に、その経験から学んだ「本の選び方」も。

「何を読めばいいか分からない」という方の、ヒントになれば嬉しいです。

そもそも「選書」とは?

選書とは、図書館に所蔵する資料を選ぶ仕事です。
書籍だけでなく、CDやDVDといった視聴覚資料も含まれます。

そして意外に思われるかもしれませんが、図書館の予算には限りがあります。

しかも自治体ごとに額は違い、さらに「一般書」「児童書」「視聴覚資料」でそれぞれ予算が分かれています。

その限られた枠の中で、「この図書館に置くべき資料は何か」を判断していく。
それが選書という仕事です。

図書館の本は、こうやって選ばれている

ここでは図書館の資料がどのようにして選ばれるのかについてまとめました。

選ばれる基準

主に、こんな資料が選ばれます。

  • すでに利用者からのリクエストが多く入っているもの
  • 世間から注目されている、話題性のある資料
  • 長年の経験から「この図書館に置くべき」と判断したもの

最後の一つは、いわば司書の目の部分。

数字には表れないけれど、地域の利用者にとって必要だと思える一冊を選び取る——

ここが選書の面白さであり、難しさでもありました。

予算との、静かな戦い

そして地味に大変なのが、予算です。
オーバーするのはもちろんNG。でも実は、余らせるのもよくありません。

「予算をオーバーせず、かつ、きっちり使い切る」——

予算管理をしっかりしながら選書をしていました。

リクエストは、全部は通らない

これは意外に思われるかもしれませんが、利用者さんからのリクエストが、すべて購入されるわけではありません。

図書館の資料購入には、税金が使われています。
だからこそ、ある程度の需要が見込まれない資料については、購入を見送ることもあります。

とはいえ、「読めません」で終わりではありません。

そういう場合は、その資料を所蔵している他の図書館から借り受ける、という対応を取ることもあります。

意外と知られていないのですが、「この図書館にはないから諦める」必要はないんです。
リクエストしてみると、他館から取り寄せてもらえるかもしれません。

ただし、ひとつだけ注意点を。

新刊は、他館へ貸し出すことに制限がかかっていることが多いんです。
「新刊期間を過ぎてから」「貸出期間を短く」といったルールがあり、すぐには手元に届きません。

なので、話題の新刊を取り寄せで読みたい場合は、気長に待つ心づもりでいるのがおすすめです。

話題の受賞作にどれくらい予約が入るかは、『第175回 芥川賞・直木賞 受賞作まとめ|元図書館司書が解説【どこで読める?】』の記事でも触れています

意外と知られていない、司書の仕事

「図書館の人って、一日中本を読んでいるんでしょう?」

——司書と言うと、時々そんなふうに言われます。

実際の業務は、こんな感じでした。

  • 本の貸し出しと、書架への返本(配架)
  • 利用者さんからの調べもの相談(レファレンス業務)
  • 選書
  • 除籍作業(本を抜き取り、処分するまで)
  • 展示の企画・設営
  • 他の図書館への貸し出し準備、借り受け作業
  • 保育園、幼稚園、小学校、福祉施設などへの定期的な貸し出し準備
  • 蔵書点検

この中から、特に知られていないものを3つ紹介します。

「探している本」を一緒に探す——レファレンス業務

これは、ぜひ知っておいてほしい仕事です。

「タイトルは忘れたけど、こんな内容の本」
「〇〇について調べたいけど、何を読めばいい?」

そんな相談に応えるのが、レファレンス業務です。
実は図書館の司書は、本の検索窓口でもあるんです。

夏休みになると、読書感想文や自由研究の本を探す親子連れからの相談が増えました。

「この子に合う本はありますか?」
「自由研究にぴったりの本はありますか?」——

そんな問いに、一緒に本棚を回ったことを覚えています。

「何を読めばいいか分からない」とき、実は近くの図書館の司書さんに聞いてみる、という手があります。

本を手放す仕事——除籍

選書が「本を迎える」仕事なら、除籍は「本を手放す」仕事です。

図書館の書架には限りがあります。
新しい本を入れるためには、古くなった本、傷んだ本、もう読まれなくなった本を、書架から抜き取らなければなりません。

そして最終的には、処分することもあります。

処分の作業は少し悲しくもありますが、

「この本も誰かの役に立って、しっかり役目を終えて、次に新しく入ってくる本がまた次の誰かの役に立つ」

そんな循環を手伝っていると思うようにしていました。

図書館の外へも、本は届いている

保育園や幼稚園、小学校、そして老人ホームや放課後デイといった福祉施設へ、定期的に本を届ける仕事もありました。

図書館に来られない人のところへ、本の方から会いに行く。

——これも図書館の役割のひとつです。

おまけ:図書館が長期休館する理由

「蔵書点検のため休館します」という貼り紙、見たことはありませんか?

あれは図書館にある本を一冊ずつ確認して、所在をチェックする作業のこと。
けっこう大変な仕事なんです。

書庫に入っている大型書籍から、10cmくらいの小さな本まで、全部揃っているかを確認する大切な作業です。

選書をしていた私が学んだ「本の選び方」

たくさんの本を前に、一冊ずつ「これは」と選んできた経験は今も自分の読書に生きています。
私が本を選ぶときに大事にしていることを、3つお伝えします。

① できれば「目次」も見てほしい

本を選ぶとき、多くの方はあらすじや帯を見ると思います。
それに加えて、私はできるだけ目次にも目を通します。

目次には、その本がどんな順番で、どこまでを扱うのかが表れています。

あらすじよりも正直に、その本の骨組みが見えてくるため、自分の目的に合っているかがわかりやすいです。

② 「話題だから」ではなく、「自分が読みたいか」

もちろん、話題性は大切な手がかりです。
でも、それだけで選ぶと、意外と手が止まってしまうことも。

図書館の本なら、無料で借りられるので気軽に冒険できます。

でも「買う」となると、話は別。

だからこそ、一度立ち止まって「これは話題だから気になっているのか、それとも本当に自分が読みたいのか」を考えてみる。

この一手間が、失敗を減らしてくれます。

特に、まとまった読書時間が取りにくい方こそ、その貴重な時間は本当に読みたい一冊に使ってほしいと思います。

③ レビューは参考に。でも最後は、自分の感覚で

レビューを見れば、その本のおおよその評価は分かります。
私も参考にします。

でも最終的にいちばん大事なのは、自分が読んで感じたことだと思っています。

評価が高くても、自分には響かない本がある。
逆に、誰も話題にしていない一冊が、人生の一冊になることもある。

(こうしてブログでレビューを書いている私が言うのも変ですが)私の感想も、どうか参考程度に。
最後は、あなた自身の「読んでみたい」を信じてください。

まとめ

  • 図書館の本は、司書が限られた予算の中で一冊ずつ選んでいる
  • 選書、レファレンス、除籍——本を届ける仕事は思ったより幅広い
  • 本を選ぶときは、目次を見て、話題性に流されず、最後は自分の感覚を信じて

「何を読めばいいか分からない」——そんなときの、少しでもヒントになれば嬉しいです。

このブログでも、司書として培った視点で、本を紹介していきたいと思います。

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